参考文献:月刊カドカワ('93.11月号)
「C」 AFTER SCHOOL SUMMER BREEZE EXOTIQUE ONE AND ONLY COLLECTION CATCH THE NITE MIND GAME MAKIN' DANCIN' ANGEL HEARTS
『C』
'85.8.21発売 キングレコード
(1)ときめき (2)スピード・ウェイ (3)センチメンタル通信 (4)SEE THROUGH LOVE (5)「C」
(6)海を感じる瞬間 (7)あいつ (8)ロンリー・バースディ (9)LAST DRIVE (10)ガラスの雨
歌手・中山美穂誕生の記念すべき1枚。このアルバムを手にした時、彼女は喜びと同時に不安を覚えたという。この頃は他のことなど何も考えられなくて、ただ一生懸命にやることしか術を知らなかった。音なんかはずしていたりするんだけど、そんな気持ちがにじみ出ているんですよ。その気持ちを思い出したくなると、取り出してきては聴いてみる思い出のアルバム、と本人は語る。はじめてのレコーディングなのに全然緊張せず、ポケットに手をつっこみ、気取って、結構その気になって歌っていたと当時のディレクターが覚えていた。
当時は「走り屋」の気分で歌ってたという「スピード・ウェイ」。今(93年当時)なら「風になりたい」の気分で歌いたい。歌詞に対する捉え方も、歳を負うごとに変わってくるようだ。このインタビューからさらに6年経った現在ではどんな気分で歌いたいのだろう。是非聴いてみたい。
『AFTER SCHOOL』
'85.12.18発売 キングレコード
(1)STARLIGHT VACATION (2)生意気 (3)けんか友達 (4)放課後 (5)蒼ざめたペンダント
(6)あ・そ・び (7)HEARTBREAK (8)「U」 (9)ストリート・ファンタジー (10)白いはがき
なんとなく感じの掴めてきた2枚目のアルバム。「あたしは私なんて言わないの」与えられたものの中でも、自分のこだわりを主張して、歌詞をちゃんと「あたし」に直してもらった。
本人は、ジャケット写真が非常に不本意で、あまり何度も見たくないアルバム(笑)らしい。ジャケット用に撮影した写真じゃないのに、できてみたらこういう形になっていて、怒ったのを覚えているとインタビューに応えている。こんなジャケット写真残している人は少ないだろうとまで言っているところを見ると、ホントにキライなのね、アナタ(笑)。
ちなみに、これは私が初めて聴いた中山さんのアルバムである。高校生のときに大好きな友達にダビングしてもらった(ゴメン!!)。「HEARTBREAK」なんかが結構お気に入り。
『SUMMER BREEZE』
'86.7.1発売 キングレコード
(1)Tropic Mystery (2)クローズ・アップ (3)Leave Me Alone (4)ひと夏のアクトレス (5)Ocean In The Rain
(6)サインはハング・ルーズ (7)Rising Love (8)わがまま (9)瞳のかげり (10)You're My Only Shinin' Star
ここではじめて「You're My…」が登場する。13年経った現在でもコンサート等でよく歌われるし、ファンからも根強い人気を誇り、作者の角松敏生氏にあとで「自分で歌えばよかった」と言わしめた名曲である。詞自体は当時の彼女より年齢設定が上で、少し背伸びをしながら歌っていた。
「ずっと今まで困らせてごめんね、大切なもの、それはあなたよ」歌っているうちに涙があふれてきたそうだ。このアルバムには、涙があふれたその時のものが収められている。
ちょっと雰囲気が大人っぽくなったアルバムで、今も歌いたいと思う曲ばかり…とは本人談。
『EXOTIQUE』
'86.12.18発売 キングレコード
(1)炎の舞 (2)ペニンシュラ・モーニング (3)黄金海岸 (4)霧のケープゴット (5)WAKUWAKUさせて
(6)スウェーデンの城 (7)インカの秘宝 (8)熱い夜 (9)SWITCH ON (10)時の流れのように
異国のイメージでちょっと今までとは違う雰囲気。はじめてラジオのアルバム紹介で聴いたときにそんな印象を受けた。
この頃はドラマに、レコーディングにと超多忙な頃。ジャケット写真を撮るためにメイクをしていて、知らない間に眠っていたなんてこともあったとか。忙しいと余計に頑張っちゃう彼女は、「多忙のわりには、いい声が出ている」(本人談)。
「ガラスの箱に閉じ込めないで、機械じかけの人形じゃない」と歌う「SWITCH ON」は、当時の彼女の心境そのものだったようだ。思うようにできなくて、息苦しくて。心のスイッチを押して自由への解放を求めていたのか。その後も「スイッチ」は彼女のキーワードになっている。
『ONE AND ONLY』
'87.7.15発売 キングレコード
(1)Liberty Girl (2)Singapore (3)Linne Magic (4)おこっChaiなランデブー (5)悲しみのライダー
(6)By-By My Sea Breeze (7)真夏はNonfiction (8)Time Up (9)決心 (10)Silent Night
北山瑞穂として初めて自分の詩を世間に披露した。音楽もある程度やりたいようにやらせてもらえるようになって中山美穂が「動き出してきた」アルバム。デモテープを50本くらい集めて、その中から歌いたいものを選んで。自分のアルバムができるという手応えがすごくあったと彼女は語る。なかでも「By-By My Sea Breeze」や「Silent Night」は彼女の大好きな曲。久保田利伸氏、小室哲哉氏などすごい方々が参加している。
私は一時期このアルバムを目覚しがわりに使っていたので、ちょうど目が覚める「Time Up」なんかがよく口につく。「By-By My Sea Breeze」も94年のコンサートで聴いて以来のお気に入り。
『MIHO NAKAYAMA COLLECTION』
'87.11.5発売 キングレコード
(1)「C」 (2)生意気 (3)BE-BOP-HIGHSCHOOL (4)色・ホワイトブレンド (5)クローズ・アップ
(6)JINGI・愛してもらいます (7)ツイてるね、ノッてるね (8)WAKUWAKUさせて (9)「派手!!!」 (10)50/50 (11)CATCH ME
デビューからの曲を並べた、歌手・中山美穂がここまできましたという記念碑的なアルバム。再録はなし。
この頃のシングルは、結構アイドル的なものが多い。「歌の大辞典」などのテレビ番組でたまに映像を見かけると、実にアイドルチックで初々しい(笑)。
『CATCH THE NITE』
'88.2.10発売 キングレコード
(1)OVERTURE (2)MISTY LOVE (3)TRIANGLE LOVE AFFAIR (4)SHERRY (5)スノー・ホワイトの街
(6)CATCH ME (7)JUST MY LOVER (8)FAR AWAY FROM SUMMER DAYS (9)GET YOUR LOVE TONIGHT (10)花瓶
デビューして以来、はじめてかなりツライ状況におかれていた時。疲れや緊張がピークで、ジャケット撮影後入院。「写真の顔は困った顔をして写っているんですよ、それがいいといわれたけど、本当に困っていたんですね(笑)」(本人談)。
事前に角松敏生氏との話し合いの場がもたれ、感じたままの「中山美穂」を詩や曲にしてもらった。「JUST MY LOVER」の中の「決められた毎日に、縛られたまま」という部分なんかは「なんでわかってしまったんだろう」と本人もドキリ(笑)。
じっくり時間をかけてレコーディングできたアルバム。「このアルバムから新たに聴いてくださるファンも増えて、そういう意味では転機と呼べる1枚かもしれない」(本人談)。
『MIND GAME』
'88.7.11発売 キングレコード
(1)Into The Crowd (2)Strange Parade (3)Why Not? (4)Cat Walk (5)Moonlight Sexy Dance (6)In The Morning
(7)Mind Game (8)I Know (9)Velvet Hammer (10)Take It Easy (11)Long Distance To The Heaven (12)Husky Town
遊び気分をふんだんに取り入れたアルバム。遊びがうまく増幅されたのは、シンディ氏との出会いに因るところが多い。その後、彼女たちは良い意味での友好を深めていくこととなる。
「Long Distance To The Heaven」は、入院中に書いた詩。彼女の憧れで、一緒に成長していけるんだろうなと思っていたのに亡くなってしまった友人へのメッセージ。彼女はこれ以後、「自分の言葉の大切さ」を知ったとか。「自分の気持ちを自分の言葉で、そして真実を歌った時、何もそれにはかなわないものだと知った」(本人談)。
『MAKIN' DANCIN'』
'88.10.21発売 キングレコード
(1)Funky Marmaid (2)Catch Me In Euro (3)Dance With 「C」
シングルのコレクションをダンサブルなアレンジにしてみたアルバム。
彼女自身は何も関わっておらず、できあがりを他人事のように楽しんだそうだ。ジャケットはデビュー前に一度撮ったことのある女性カメラマンで、また撮ってもらえたことがとても嬉しかったとか。不思議な感じのジャケットだ。
『ANGEL HEARTS』
'88.12.5発売 キングレコード
(1)Sweetest Lover (2)Too Fast, Too Close (3)Bad Girl (4)Diamond Lights (5)天使の気持ち
(6)Witches (7)瞳にLovin' You (8)Please (9)Try or Cry
前出のシンディ氏との心のつながりからできたアルバム。2人は、いろんな趣味が似ていて、とてもわかりあえる関係のようだ。「とてもあったかい、それまで、届きたくて、手が届かなかった"新しい部分"に到達できたような気がする」(本人談)。
彼女自身、女らしくなろうとすごく思いはじめた時期。ジャケットにもそんな気持ちが表れている。
「Sweetest Lover」は、ラジオ「P.S.I Love You」のテーマだったせいか、とても耳に馴染んでいる、私のお気に入りの一つ。98年コンサートの「Please」はなかなかGOODでした。