Short Story TOP
What's New? Message Board Site Map

勝手に Short Story 〜歌の中の風景〜



Husky Town by 匿名Cさん
(作詞:芹沢 類/作曲:羽田一郎)



 夢、幻、単なる空想、思い込み。
いや、現実。紛れもない現実だったはず。
少なくとも僕の心の中だけでもそうあってほしい。
それならばやはり現実ではないのだろうか。

まるで嵐のようだった。
平穏だった毎日。何を求めるでもなく、何にすがりつくでもなく、ただ淡々と時間が過ぎていく毎日だった。

”嵐”がきたのは偶然だったのだろうか。必然だったのだろうか。

繰り返される「社交辞令」
「社交辞令」に掻き回された僕が未熟だった。

”社交辞令”は無意識的だったのだろうか。意識的だったのだろうか。

どちらでもないのが事実だろう。
自分の中での言い訳にしたいだけだろう。
求めても求められない。なぜ。
ただその答えを受け入れたくないだけだった。

”嵐”の過ぎ去った後はどこか寂しさが漂っている気がする。
なぜだろう。
平穏な日々では考えられない、ある種の忙しさ。心の葛藤という忙しさ。
その忙しさが一気になくなるせいだろうか。

夏の日の夕立。その後の少しひんやりとした感覚。
それにも似ている気もする。
すさまじい勢いで雨を降らし、何事もなかったように去っていく。
まさに”嵐”ではないだろうか。

夕立の後にもやはり寂しさを感じる。
しかしその寂しさはどうすることも出来ない。
理由のない寂しさだから。
その寂しさを振り払えるのは自分自身のみなのだろう。

いつのまにか心の季節は秋を迎えようとしている。
突然やってきた夏、それさえも追い越して。

何にもなかった振りをして”街”へと歩いていこう。
平穏な日々という”街”へ

一人で歩いていこう。
明日という”街”へ




<fin>
OVER THE MOON