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勝手に Short Story 〜歌の中の風景〜



Treasure by 匿名Dさん
(作詞:西脇 唯/作曲:西脇 唯・緒里原洋子)



学生時代から付き合ってきた彼と結婚生活も楽しい毎日が過ぎていった。
やっと2人の生活になれてきた冬、彼がぽつんとつぶやいた。

「赤ちゃんほしいね。」

私にとって意外な言葉だった。
子供が苦手で、子供は・・・・・・って、言ってたから。
私は子供が大好きだったけど、どこか心の底で彼の気持ちが落ち着くまで。
って想ってた。


それから1年後、女の子が生まれた。
けっこう淡白で、うれしい時も悲しい時もあまり顔に出さない彼なのに、毎日けっこう必死な笑顔であやしている。
周りの誰よりも親バカになって、「家の子が一番カワイイ!!」と毎日つぶやいてる。
結婚前の「子供は苦手で・・・」ってあれは何?って聞きかえしたくなるほどに・・・。


そんな日が3年過ぎた頃。
あれは・・・・・・誰のせいでもなく、不慮の事故、としか言えなかった。

3人が2人になった時、生活から笑顔が消えていた。
私たち夫婦はあんまり話をしなくなった。
何を話せばいいんだろ。
あの子が生まれてくる前みたいな”おとな二人の楽しい時”を必死に探したけど、何を楽しんでいたんだろうか・・・?
全然思い出の中からもみつからなかった。
話をしてしまうとあの子を思い出してしまって、涙があふれて気がくるいそうになる感じだった。
心の中にはあの子がまだ生きてる気がしてた。
結婚前の彼よりひどく子供嫌いになってしまった私がいた。


そんな日が半年ほど続いていたある冬の日、彼がぽつんとつぶやいた。

「赤ちゃんほしいね。」

「いや。」
そうつぶやいた私に、
いつまでも悲しんで毎日を過ごしてたら、あの子はきっと悲しんでるよ。
あの子の弟か妹を作ってあげよ。
今度生まれてくる子供に、おねえちゃんがいたんだよって。
あの子の分まで愛情をそそいであげよ。


悲しみを知ってるから笑顔が生まれる。
苦しい事があるから楽しい事も生まれる。

たった3年間だったけど、楽しい毎日だったよ。
あなたを失った事はまだまだ悲しいけど・・・・・・・


そして、忘れないから。きっと。いつまでも。

だから見守っていてね。きっと。いつまでも。


見上げた瞬間。空から雪が降りてきた。
私の返事かのように・・・・。


それから1年後。あの子の妹が生まれた。
また私たちの生活に笑顔が戻った−−−−−。





<fin>
OVER THE MOON