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勝手に Short Story
〜歌の中の風景〜
ビジソワーズフラワー
(作詞:M.Nakayama/作曲:M.Watanabe)
「サヨウナラ」
そのとき、彼はそう言った。
「別にキライじゃないんだけど、特にスキでもないんだ」
カナシミとは、突然やってくるもので。
その光景を、ワタシは今まで何度思い起こしたことだろう。
夜 眠るときも、朝 目覚めるときも、昼 食事をするときも、ふとした音にも、彼を思い出してしまう。
ワタシハ カレガ スキ。
封印された言葉は、何度も何度もワタシの頭の中を駆け巡っては通り過ぎ。
特にスキじゃないのに、なんで付き合ったの?
別にキライじゃないのに、なんで別れるの?
いろんな疑問が行ったり、来たり。
頭がパニックで、何も考えることができない。
この状態で、1週間が過ぎていった------。
「いい加減、ガッコウ来なって」
友達が電話してくる。
…ガッコウね。何のために?アイツもいないのに?
こんなキモチを抱えたまま、ガッコウなんて行けないし…とそこで気づいた。
そうか、このキモチ、このまま凍らせてしまえばイイ。
言葉と一緒に、凍らせて封印してしまえばイイ。
このカナシミを受け止めて、考え方を切り替える。
「愛」は何よりも大切なもの。「愛」がないと生きられない。
ううん、決してそんなことはない。
「愛」なんていらない。やることはいくらでもあるし、一人でだって生きていける。
そして、「愛」というキモチを、凍らせた。
時は過ぎる。
シアワセな時も、フシアワセな時も。
何日も、何年も、ワタシのまわりはスローペースで。でも、確実に時は過ぎる。
「愛すること」をやめてしまってから、どれくらいの年月が経ったのだろう。
決して、男を好きにならないのではない。
ただ、「愛すること」に臆病になってしまっただけ。
「愛そう」と思っても、足がすくんで前に進めない。
ワタシは、ただの臆病ものなんだ…。
だけど。
ワタシは、いつでも待っていた------。
立ちすくんだワタシを、強引に連れていってくれる手を。
凍ってしまったワタシのココロを、溶かしてくれる誰かを。
いつのまにか、一人でいることに慣れてしまった。
一人でも全然平気だと思っていた------でも。
一人では、やりきれないときもある。カナシイときも。サミシイときも。
ヨロコビだって分かち合いたい。シアワセも。タノシミも。
もう一度。
チャンスを与えてもらえるのなら。そしたら…。
何もかもすべてを飲み干して、一からやり直せる気がする。すべてを最初から。
世界中で、女の子たちは毎日そんな恋愛にあけくれてる。
毎日、誰かがふられて、誰かが泣いて。
そのたびに、恋愛に臆病になって。傷つくことを恐れて。
でも、大丈夫だよ。
傷つけば傷つくだけ、人は幸せに近づいていくんだから。
哀しみを乗り越えるたび、人は生まれ変わっていくんだから。
壊れてしまったココロは、凍らせてしまえばいい。
そして、思い出にかわった頃、ゆっくり見直せばいい。
新しいシアワセは、きっともうすぐそこにあるんだよ。
アナタも。
そして、ワタシも…。
<fin>
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