TUNNEL VISION
キース・ロウ Keith Lowe（ソニー・マガジンズ）

たった１日でロンドン地下鉄全267駅をまわりきる。時刻表を念頭に複雑に行き交う12ラインを効率よく乗り継ぎ、出口に一番近い車両に乗り込まなければ達成することはできない。成功の鍵は緻密な計算と体力と運。世界記録は18時間19分、最難関のチャレンジに挑む…というわけで、これ、何かっていうと、小説です。鉄道オタクの友人と言い争いになって売り言葉買い言葉でこんなバカなチャレンジをしてしまう主人公。結婚式は2日後のパリ。この挑戦を滞りなく達成しないとパリ行きのユーロスターのチケットを取り戻すことができない。必ずやりとげなければならない挑戦というわけ。

ロンドン地下鉄ファン（笑）のワタクシ的にはかなり面白いストーリーでした。
ロンドンには結構たくさんの路線があるのですが、小説でありながら、それらの歴史やエピソードなどに触れることができる。かなりオタッキーであることには間違いありませんが、ロンドン地下鉄ファンにはたまらない作品だと思います。こういうストーリーの作り方もあるんだなぁってちょっと関心してみたりして。巻末に付いている路線図を首っ引きで見ながら、ストーリーが進むたびに場所を確認したり、話が出てくると元のページに戻ったり。自分がずっと地下鉄に乗ってるような錯覚に陥ることでしょう。
ストーリー的にも、こうなったら後に退けない主人公や意地悪なわなを仕掛ける友達、結婚前にこんなことをやっている婚約者に半ば飽きれている恋人…3人の人間模様がなかなか…（笑）。
地下鉄好き（笑）もラブストーリー好きもちゃんと満足させてくれる作品に仕上がってます。
是非是非ロンドンに行く前に、または行ってから復習のように読んで見てください！（笑）