旅行のススメ


パンフレット玻璃(ガラス)の城
1998年 / 香港 / 1時間50分
監督:メイベル・チャン
出演:レオン・ライ、スー・チー、ニコラ・チャン、ダニエル・ウー 他

1996年、大晦日のロンドンで、香港人の男女が交通事故を起こした。見知らぬ女性とともに亡くなった父ラファエルの遺体を確認するため、ニューヨークから駆けつけたデイヴィッドは、警察署で香港からきたスージーという若い女性と出会う。彼女は父と事故死した女性ヴィヴィアンの娘であった。
互いに自分の親を奪われたと反目しあう2人は、自分たちの親が共同名義で購入した家を処分するために、香港へと向かう。その家で2人が見つけたのは、父と母の、学生時代から現在に至るまでの思い出の品々や写真であった。

とまあ、こんな具合に、96年の2人と70年代の2人という時間を越えた2組のカップルを交錯しながら、70年代の学生紛争の時代、96年〜97年にかけての香港返還の様子等、この2つの時代に注目して、香港の歴史を語ってしまおうてな試みの映画であります。

ワタクシ的に言わせていただくと、香港映画というのは、結構当たりはずれがあるような気がします。バリバリとド派手なハリウッド系よりは、繊細なアジア・ヨーロッパ系テイストな映画が好みなのですが。
これは、どうでしょう。そんなにはずれでもありませんでしたが、ちょっと親世代、つまりは70年代のカップルに力を入れすぎた感はありますね。もう少し子供世代(90年代)のカップルの方にもドラマが欲しかったかな〜。なんて書くと、先入観を与えちゃいますね(苦笑)。

さてさて、「旅」という観点から見ると、どうでしょう。
最初にロンドンのビッグベンあたりからワーっと映ったときは、ロンドンに行きたくなりました(苦笑)。
歴史的な事実を知ると、それなりにその街を知りたくなってくる。そんな感じでしょうか。特に、70年代の話は、香港大学の学生寮を中心に描かれていて、そういう風景を見たくなるかもしれません。恐らく、同じような経験をされている方なら、なおさら…かな?(笑)もっとも、この学生寮は、既に取り壊されてしまったようですが。

この監督の前の作品で「宋家の三姉妹」という映画があります。これは、中国の20世紀初頭の共産党を描いた作品ですが、これも中国の歴史を知るよい映画です。こちらもちょっと中国まで行ってみようかな…てな気分になるに違いありません(笑)。



OVER THE MOON 2