旅行のススメ


オーストラリアマップ 裸足の1500マイル
2002年 / オーストラリア / 1時間34分
監督:フィリップ・ノイス
出演:エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ディアナ・サンズベリー 他

1931年、西オーストラリア・ギブソン砂漠の端に位置するジガロング。この土地に14歳のモリー、その妹で8歳のデイジー、そしてモリーの従妹にあたる10歳のグレイシーというアボリジニの少女たちが生活していた。その頃のオーストラリアには、アボリジニを保護するという名目のアボリジニ隔離政策というのがあって、アボリジニと白人の混血の子供たちを家族から引き離し、白人に同化させるということが行われていた。モリーたち3人も母親のもとから引き離され、西オーストラリアの都市パースの北にあるムーアリバー先住民居留地に収容されてしまう。そこでは粗末なベッドと貧しい食事をあてがわれ、白人文化に溶けこむための厳しいしつけが行われていた。モリーたちは厳しい監視の中、脱走を試みる。ウサギよけのフェンスというのがオーストラリアを縦断していたので、これを伝っていけば故郷ジガロングまで辿り着けると気づいたモリーたちは、必死でフェンスづたいに歩いていく。

とまあ、こんな話なんですけども。まあ、タイトルが「裸足の1500マイル」ですから、まさか歩くんじゃないの??てな予想は立ったかと思いますが…そうなんです。この子たち、ムーアリバーからジガロングまでを歩いてしまおうと考えたのです。その距離なんと2400km!地図で見てもらってもわかると思いますが、間には砂漠もあったりして。かなり過酷な旅といえます。さらには、監視人から追跡を受けながらの旅ですから…。

オーストラリアってどんな印象を持っていますか?私の中のオーストラリアは、シドニーとかメルボルンとかわりと都会なイメージです。あまりにも知らなすぎて、こういう風景のイメージはなかったのですが。舞台はオーストラリアなんですが、アボリジニたちが住んでいる西オーストラリアのお話ですので、かなり自然に囲まれた大地、広々とした原野という風景が広がっています。原野をとにかく歩く。お母さんに会うために、とにかく歩く。途中、いろんな人たちと出会って、アボリジニがどんな扱いを受けていたのかなんかも感じながら、とにかく歩く。是非この風景を一緒に体感したい!とかこの子たちが通ってきた道程を辿ってみたい!とか、私は絶対に思いませんが、オーストラリアの歴史と自然を肌に感じながら見ることのできる奥の深い映画だと思います。これが実話っていうのが怖いですよね…。家族から子供を引き離すなんて政策が本当にあったかと思うと、なんだか信じられない気分です。それは一体どんな正義なんだろう…。こういう歴史もあったんだと。そして、オーストラリアに行く前に、アボリジニのことを少しでも理解してから行きたいと思いました。

本当は、こういう歴史はどこにでもあるんじゃないかと思います。北海道のアイヌ民族にしろ、沖縄の民族にしろ、アメリカのインディアンとかその他いろいろ。いろんな生活があり、いろんな歴史があり。それぞれの国のそういう側面を見つめることはとても大切なことかもしれませんね。
これは壮大な旅のお話です。オーストラリアの大地を肌で感じられるに違いありません。



OVER THE MOON 2