三つの交響的絵画「寄港地」 作曲:ジャック・イベール どのくらいの人がこの曲を知っているのでしょう。 そんなにメジャーな曲ではないような気がするけど、どうでしょう。 この曲は、パリ生まれのジャック・イベールの作品で、ワタクシ的には、非常に旅心をそそる一曲なのであります。 3曲からなる組曲で、第一曲「ローマ〜パレルモ」、第二曲「チュニス〜ネフタ」、第三曲「バレンシア」と、地中海を取り囲んだカタチで、副題がつけられているのです。もっとも、副題は、後で付け加えられたものなのですが(苦笑)。 第一曲は、ローマからシチリア島北岸の港町パレルモへの航海を描いています。フルート・ソロにてはじまるすがすがしい第一主題。これは、その後オーボエ等に引き継がれていくわけですが、のっけから穏やかな海の空気というのが、非常に感じられるのです。流れるような音に、海のさわやかな潮風を感じてしまいそう。続いてはじまる陽気なタランテラが、シチリアの幻想をかきたてます。少し活気のある港町の雰囲気。体感できると思います。曲は盛り上がりを迎え、そしてまた穏やかな海へと帰っていく…さわやかな気分で次の航海へと旅立ちましょう。 第二曲は、北アフリカ、チュニジアの首都チュニスからさらに南方のオアシスの町ネフタへの印象がまとめられています。この曲は、オーボエのソロによるアラビア風の旋律が艶麗に響き渡るわけですが、アヤシげな…というか、なんとも不思議な雰囲気です。頭にターバンを巻いた商人なんかを思わず想像しちゃいそう。ところで、チュニスから15kmほど離れたところに、かの有名なカルタゴ(B.C.4世紀頃地中海全域を制した商業貴族寡頭政の海上国)の廃虚があるのです。非常に興味深いでしょ?!(関係ないって(苦笑)) 第三曲は、バレンシア。スペインの港町です。力強い低音の響きが、スペインの活気を体感させてくれます。さすが情熱の国!パーカッション、特にタンバリン、カスタネットの音がスペインの空気を運び、速度を増していく旋律に強い太陽の光と風を感じます。まばゆいばかりの光と色彩感あふれた華麗なる終曲です。 てなわけで、クラッシックの紹介のくせに、何も音楽的なことは書けないのですが(苦笑)。 日本ではあまりCDも出ていなかったような気がしますが、ロンドンで探したときは、さすがにイベールの曲もいくつか置いてました(苦笑)。 ぜひ、イベールの描いた3枚の絵を感じながら、一度お聴きください。 |