バレエ音楽「ロデオ」〜4つのダンス・エピソード 作曲:アーロン・コープランド 今回はコープランドの「ロデオ」です。コープランドといえば、何を思い出しますか?ワタクシ的にはやっぱ「ロデオ」かなぁ、あと「市民のためのファンファーレ」とか。これって結構テレビのBGMなんかでも使われてたりしますよね。あと「エル・サロン・メヒコ」とかもそうですよね?…って、私が知ってるのはブラスで演奏しそうな曲ばっかりですが(笑)。 コープランドは1990年に享年90歳で亡くなったわりと最近の方ですが、ご存知でしょうか?ニューヨークの下町ブルックリンのロシア系ユダヤ人の家庭に生まれた彼は、17歳の頃から作曲の勉強を本格的にはじめ、21歳でパリに留学しました。3年後に帰国し、作曲家としてのスタートを切ります。 西部、テキサスというものは、1938年に「ビリー・ザ・キッド」を作曲するまでは、コープランドにとって未知のものでした。西部のことなんか知らないと異を唱えた彼にこの曲の依頼主カーステインはカウボーイ・ソングを集めた本を何冊か押し付け、「エル・サロン・メヒコ」ではメキシコ民謡を使いこなしただろう?と言ったとか(笑)。メキシコの旋律が扱えるのなら自分の国のやつもうまく行くはずだと説得したそうです。 で、「ロデオ」ですね。「ビリー・ザ・キッド」の作曲から4年後、モンテカルロのロシア・バレエ団から振り付けを依頼されたアグネス・デ・ミルが、コープランドにこの話を持ってきました。カウボーイの出てくるバレエは既に書いた(「ビリー・ザ・キッド」のことですよ)と彼は難色を示しましたが、デ・ミルが彼にお願いした理由もまさにそれだったのです。幸運にも?デ・ミルは屈しなかったようで、1942年10月にニューヨーク・メトロポリタン劇場にて無事初演を迎え、大成功を収めます。 バレエのオリジナルタイトルは「焼畑農場での求婚」だったそうですが、それを「ロデオ」と変更したのは興行主ソル・ヒューロックの才覚でした。ストーリーは村一番のカウボーイにのぼせ上がった牛飼娘が、気を引きたいばかりに男装に身を包んで青年っぽくふるまい、かえって顰蹙をかい、最後には元通りしおらしい娘に戻り、理想の人を得るといった内容。組曲ではオリジナル版の5つのセクションから編まれた4つのナンバーがまとめられています。金管の華やかな音で始まる「カウボーイの休日」、叙情味豊かな「牧場の夜想曲」と「土曜日の晩のワルツ」、そして浮かれ騒ぐような「ホー・ダウン」の4曲です。 さて、「音楽から感じる旅」ということでご紹介しているわけですが、ここで紹介される音楽には2つのパターンがあります。ポップスのような歌詞付きの歌は別として、うんちくを語って行きたくなってくる曲と単に音楽を聴いて純粋にその風景が想像できる曲。この「ロデオ」はワタクシ的には後者にあたると思っています(とこれだけうんちくを語ってから言うのもなんですが(苦笑))。この舞台はどことは明確にわかりません(私は知りません)が、行きたくなる場所はやっぱり西部劇にも出てくるテキサスなのです。「ロデオ」というタイトルの功績も大きい(笑)ですが、なんとなくカウボーイが想像できそうな曲に仕上がってると思います。特に「カウボーイの休日」に出てくるトロンボーンソロとか。もうすごいカッコいいし。トロンボーンで吹いてみたいくらい(無理だって!(笑))。ここらへん、かなり思い込みな世界ですが(笑)。あと、最後の「ホー・ダウン」ですね。カウボーイたちが大騒ぎしている村のお祭りとかそんな印象を受けます。人々の歓声も聞こえてきそうな、とても楽しげな感じです。2曲目の「牧場の夜想曲」はオーボエのソロとフルートのソロが甘くメランコリックな優しいメロディ。「土曜日の晩のワルツ」はオーボエのソロがのどかな村の風景を想像させてくれます。どこかで聴いたことがあるような、そんな懐かしげなメロディです。テキサスの片田舎ってイメージですね(てか、今のテキサスがどんな感じか全然知りませんが(苦笑))。 ところで、ロデオって知ってますか?誰が鞍なしで野生の牡馬に乗れるか、走ってる馬の上で逆立ちが出来るのか、縄を投げ、牛を捕まえてその足を縛ることができる一番速いのは誰か?昔西部にいたカウボーイたちのこんな遊びからロデオは生まれました。今でもロデオの大会はいろんなところで開催されているようです。テキサスのヒューストンで開かれる最大級のロデオ大会は毎年2月末〜3月上旬に開催されます。テキサスに行くことがあれば、是非見てみたいですね。 |