バイエルン王 ルードヴィヒ2世の夢をたどる旅(ドイツ) ドイツ バイエルン王 ルードヴィヒ2世をご存知でしょうか? ルードヴィヒ2世とはドイツバイエルン地方の王で狂王と言われたことでも有名です。その当時は美しさ以外にその能力は世間では認められず、ワーグナーへの過剰な投資と浪費、そして、ベルク城での幽閉、湖での変死と最後まで謎に包まれた人物なのです。 そんな彼の建築した絢爛豪華な城たちは非常に一見の価値のある場所ばかり。右の写真をご覧ください。実はこれは初めてドイツに行った際に購入した一枚の絵葉書ですが、一目見てこの「バイエルン王の城(Bayerische Koenigsschloesser)」というのにとても惹かれました。その時の旅では一番有名なロマンティック街道の最終地点フュッセンから行くノイシュバンシュタイン城しか行きませんでしたが、いつか絶対すべてまわってやろう!と思っていたのです。ちなみに、写真はリンダーホーフ城(左上)、ノイシュバンシュタイン城(右上)、ヘレンキームゼー城(左下)、ニュンフェンブルク城(右下)です。 さて、私の旅行のスタイルはてんてんと宿泊地を変えることはあまりせず、どちらかと言うと一つの場所に留まってパスなんかを使って列車で各地を一日旅行するというパターンが多いですね。というわけで、この4つの場所をまわるのに起点とすべき都市はどこだろうと地図で見ると、ミュンヘンが便利そうです。もっとも、バイエルン州の州都なので当たり前といえば当たり前ですが(笑)。 で、起点をミュンヘンに決めると、だいたいコースが見えてきます。すべてドイツ国内の電車での日帰り旅行でまかなえますので、ジャーマンレイルパスなんかを用意してみてはいかがでしょうか。 ニュンフェンブルク城 ミュンヘン郊外にあるこの城はルードヴィヒ2世が生まれた城。ヴィッテルスバッハ家の夏の離宮で、人工の運河を軸に左右対称をなす立方体の宮殿が均整の取れた美しさを見せます。見所は絢爛豪華なその宮殿の造りでしょうか。あとはルードヴィヒ1世の美人ギャラリーと言われる部屋とか。庭もかなり素晴らしいです。小宮殿なんかもあったりして、なかなか満足度たっぷりなお城です。ちなみに、Nympheとは所謂ニンフ(妖精)のことで、Nymphenburgとは「妖精の城」という意味です。 【交通】 U1(地下鉄)Rotkeruzplatz(ロートケルツプラッツ)→トラム17番 Schloss Nymphenburg(シュロスニュンフェンブルク)下車。 ノイシュバンシュタイン城 この城はフュッセンから東に4kmほど行ったところにあるシュバンガウという村にあります。「メルヘン王」の異名を持つルードヴィヒ2世が夢見たのはこの世で最も美しい城。少年時代に白鳥の騎士ローエングリーンやタンホイザーなどの英雄に憧れた王は、ワーグナーのオペラの世界に心酔しました。そして、その伝説の城を構築しようと決意。それが「白鳥の城」といわれるこの城です。Schwanとは白鳥を意味しています。見所は城内で最も豪華絢爛なビザンチン様式を用いた「玉座の間」でしょうか。すぐ近くにある吊橋(マリエン橋)からの眺めが絶景!ここが外からノイシュバンシュタイン城を見る写真ポイントです(笑)。マリエン橋を越えてずっと森の方へ下っていくとそこはルードヴィヒ2世の散歩道。時間があるようなら是非森林浴でもいかがでしょ? ここまで来たら、ついでに必ず寄ってほしいのがノイシュバンシュタイン城の正面の山の上にあるホーエンシュバンガウ城。ルードヴィヒ2世が少年時代を過ごした城です。彼が建築したものに比べれば全然素朴だけど、やっぱり一見の価値ありなのです。 【交通】 ミュンヘンから電車で2時間(約160km)のところにあるフュッセンへ。フュッセンからはバスでシュバンガウのふもとまで。ホーエンシュバンガウ城へはふもとから徒歩で20分程度。ノイシュバンシュタイン城へはふもとから徒歩で30分程度。 リンダーホーフ城 オーバーアマガウから25分ほどバスに揺られてやってくるとこの城がある。ルードヴィヒ2世がフランスの太陽王類14世に憧れて、ヴェルサイユのトリアノン宮殿を模して建てたもの。彼が建てた3つの城の中で唯一完成した城として知られています。城としての規模は小さいけれど、内部はかなり豪華絢爛。金箔と鏡を多様したロココ調の装飾がいたるところになされています。庭には人工の滝があったり、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」をイメージして作られた「ヴィーナスの洞窟」があります。事前にワーグナーの交響曲を聴いてみてもいいかもしれませんね。リンダーホーフとは「菩提樹の館」という意味。以前この場所に菩提樹の木が生えていたことから付けられたのだそうです。 【交通】 電車でミュンヘンからムルナウまで1時間。乗り換えてオーバーアマガウまで40分。約120km。オーバーアマガウからはバスで約25分。 ヘレンキームゼー城 「バイエルンの海」と言われる州最大の湖キームゼー。その湖に浮かぶ大きな島、ヘレン島にあるのがこのヘレンキームゼー城です。ルードヴィヒ2世がヴェルサイユ宮殿を模して建てたものですが、王の死により結局未完成のまま残されました。やっぱりここもかなりな絢爛豪華さで、見所はヴェルサイユよりも美しいとされる「鏡の間」やマイセン磁器に飾られた「磁器の間」です。ここは湖のそばだからか、とても落ち着いた気分になれそうですね。 【交通】 ミュンヘンから電車でプリーン(キームゼー湖畔)まで1時間。プリーンから港までキームゼーバーンで8分。遊覧船で15分程度。 どういう順番でまわるかは体力と相談ということで(笑)。 実はこのコースは既に実行済みなんです(笑)が、リンダーホーフへ行ったらオーバーアマガウの街は是非観光してほしいですね。ここは小さな街なんですが、建物にフレスコ画が描いてあってとてもメルヘンな街並なのです。そして、街中に木彫りの天使があふれていて、カトリックな街って感じ。10年に一度行われる「キリスト受難劇」も一度見てみたいと思います。 あとはミュンヘン観光ですね。ここもとても見応えのある街だと思います。そうそう、10月に行かれてはいかがでしょうか?ミュンヘンのオクトーバーフェストは有名で町中かなりな大騒ぎですよ。ビールもソーセージもうまいっ!(笑) もっとルードヴィヒ2世に浸りたい場合は、ミュンヘン近郊にある最後に幽閉されていたブルク城とか謎の死を遂げたシュタルンベルク湖とかを覗いてみてもいいかもしれません。 |