ニューカレドニア旅行記 by マフィーちゃん 結婚式前後の慌ただしさからようやく抜け出した2004年2月、ニューカレドニアへ新婚旅行(照笑)に行ってきました。「天国に一番近い島」と言われるニューカレドニアで体験したことを、見たまま、そして感じたまま書いてみました。とりとめのないことばかり書いていますが、もしよかったらお付き合いください。 出発 待ちに待ったこの日がやって来ました!! ガイドブックを読み続けること数ヶ月。指折り数えた新婚旅行です。(^^) 旅行の前日というのは大体緊張して寝られないのだけど、今回も予想通り長―――い夜を過ごして、ようやく訪れた朝。前日までに詰め終わった荷物の最終チェックをして、いざしゅっぱ〜つ!! 福岡から国内線を乗り継ぎ関西国際空港へ到着。無事に出国手続きを完了した後は、エア・カレドニアの飛行機に乗り込み一路ニューカレドニアへと出発です。今回の旅先であるニューカレドニアは、大まかに説明するとオーストラリア大陸の東側、日本からは南南東に約7,000kmの位置にあります。フランス領のためか、フランスから日本を経由してニューカレドニアへ向かうフランス人観光客がとても多く、乗客の半分以上はフランス人。これから長期バカンスを満喫するであろうフランス人と、僕達日本人を乗せた飛行機は関空を離陸。これから8時間以上の長時間フライトが始まるのでした。^_^; 離陸して1時間ほどして、機内食の昼食が出てきました。パスタを中心に機内食にしてはなかなかの味。ペロッと平らげて、その後は映画を見たり、座席前についているテレビ画面でテトリスやゴルフゲームをしたり、少しだけ昼寝したりして退屈な時間を過ごしているうちに、夕食らしきものが出てきました。まずは小さなサンドイッチが2〜3切れ。それに果物、小さなデザート・・・次は何が出てくるのかと思ったら、それで終了でした^_^;。これっておやつ?っていうくらいの少量です。「今のサンドイッチが今日の夕食じゃないよね?」と問う僕に、「きっとそうだと思う」と、あっさり答える妻。そうこうしているうちに飛行機は高度を下げていくのでした。 到着 長時間のフライトから遂に解放されて、ニューカレドニアのトントゥータ国際空港へ到着です。飛行機のタラップを降りると、日本の冬とはまるで違う夏の匂いがプンプンしています。到着が夜中だったので景色が見えないのが残念ですが、入国審査を無事にパスした後は、事前にネットで調べていたとおり空港の両替所で日本円からフレンチ・パシフィック・フランに両替してもらいました。空港を出ると、日本のツアーデスクが並んでいて、現地の日本人ガイドさんが日本語で親切に対応してくれたので一安心。簡単に受付を済ませてバスに乗り込みます。ここで初めて気がついたのですが、日本人旅行客の九割方は新婚旅行とおぼしきカップル、カップル、カップル・・・。2月の平日に出発する海外旅行、しかも南国。そりゃあそうだよね^_^;(苦笑)。そんな新婚旅行カップルばかりを乗せたバスは、ニューカレドニアの首都ヌメアを目指して約1時間、真っ暗な田舎路を突っ走ります。その間に現地の日本人ツアーガイドさんから滞在中の説明を聞きつつ、現地時間の夜中12時過ぎ、宿泊するホテルに到着しました。今回の旅行は、空港の送り迎え以外は全て自由行動です。最後に、明日の離島へ出発するための集合時間を確認して解散しました。 重たい荷物を抱えつつ、やっとの思いで部屋へ到着。最初に出た言葉は「おなかすいたよね」。よーく考えたら、おやつ程度の機内食(夕食)以来、何も口にしていないのです。かと言って、ここは日本でもなければハワイでもない。こんな時間に開いているレストランなどありません。その結果、絶対食べないだろうけど、万一の時の非常食にと思って持参したカップラーメンを初日の夜に食べることになりました。あぁ、これって一応新婚旅行なんだけど。。。(苦笑) 二日目 目を覚ますと、カーテン越しに朝の日差しが差し込んでいます。カーテンを開けてベランダに出ると、プールサイドに植えられたヤシの木の先には、見渡す限りのニューカレドニアの青い海が広がっています。天気も快晴!!今日は午後から離島の「イルデパン」に行くのですが、それまでは全くの自由行動。まずはホテルから10分ほど海沿いの道を散歩しながら「パームビーチ・ショッピングセンター」へ。事前にネットや本で調べていたとおり、小さなお店が十数件ほど集まっただけの、ほのぼのとした場所です。そこで簡単な朝食を済ませた後は近くの水族館へ。これまた小さな水族館は、海ガメや、ナポレオンフィッシュ、クマノミなどの熱帯魚が水槽の中を泳いでいます。明日からはシュノーケリングをする機会があるので、じっくり魚の下調べ(笑)。こんな綺麗な魚と一緒に泳げると思うとワクワクしてきます。それから、この水族館の一押しは「光る珊瑚」。綺麗と言えば綺麗だったけど、元気に泳いでいる魚の方が僕は好きかなぁ・・・^_^;。何せ小さな水族館なので、30分もかからないうちに全て見終わり、その後はホテルの集まるアンスバタ地区の海岸沿いをブラブラ散歩&ショッピングです。買い物が大好きな僕でも、大して購買意欲が刺激されない店を、のんびり散策しました。 午後は、国内線の小さなプロペラ機に乗って離島の「イルデパン島」へ向かいます。海の宝石と呼ばれる「イルデパン」は、本土から飛行機でわずか25分の距離にあり、周囲40kmほどの小さな島は、上空から見下ろすと青い海に囲まれています。ホントに青い。ハワイとも、グアムとも違う青さは、バスクリンの青色とでも言いましょうか(笑)・・・例えようのない綺麗さです。 イルデパン到着 空港に迎えに来てくれたホテルの車に乗り込み、今日の宿泊先「ウレ・ロッジ」へ向かいます。車には、僕達の他に日本人カップルがもう一組だけ乗っていました。信号が一つもない島を20分ほど走ってホテルに到着です。今日から宿泊するこのホテルは昨年オープンしたばかりで、全ての客室はバンガロータイプになっています。周囲はヤシの木が生い茂り、これぞ新婚旅行!!という感じの南国ムード。(^^) しかし到着早々、部屋のポットが壊れていて電源が入りません。フロントへ持って行って「ディスポット ブロークン」と、中学生以下の日本語英語に身振り手振りを加えて状況を説明。やっと理解してもらえたらしく「別のポットを持ってくるから待っていなさい」と多分言われたので、イスに座って待つ僕・・・そこで事件は起きたのでした。待っている間、何気に天井に目をやると、ふと視界の片隅に緑色の物体を発見。ツヤツヤとした濃い緑、ピーンと伸びた触角。あの形の生き物は、日本ではキリギリスと呼ばれていると思うんだけど・・・。そう、僕の大嫌いなバッタ系。しかも、その大きさたるや並みじゃなく、僕の手のひらぐらいはありそうな大きさで、奴に比べれば日本のキリギリスなんて赤ちゃんみたいなものです。南国にいるにも関わらず、背筋が凍りつく僕。万一にもこっちに向かって飛んできたら、間違いなく気絶する自信があります。もう目は釘付け。奴との距離、4〜5m。いつ飛んできても逃げられるよう、周りの状況を確認しました。もうポットなんていらないよ・・・と思っていたところに、ようやく別のポットが届いたので逃げるようにフロントから退散しました。部屋に戻ってから、妻にバッタのことを説明すると「見てみたーい!!」と一言。まったく物好きです。^_^; 荷物を開いた後は、ホテルのすぐ目の前に広がるビーチへ散策に出かけました。波打ち際には小魚がたくさん泳いでいます。旅行のパンフレットやHPに載っていた写真と同じ景色を目の前にして「遂に来ちゃったね〜」と言い合いながら、海に沈む夕日を眺めました。 そして待ちに待った夕食の時間。旅行初日から大した食事にありついていない僕達は、おなかもペコペコ。食事ができる夜7時に合わせてレストランへ行くため部屋を出ようとしたその時、開けた扉のサッシに、先ほど見た巨大キリギリスがぶら下がっているではりませんか!!「ギィヤァー」か、「ウワァー」か、すごい声を出して、無意識のうちに扉を閉めた僕。先に外に出た奥さんを見捨ててドアを閉めたので、後々まで「あの時、見捨てたよね」と言われ続けることになりました。(>_<) その後ようやくレストランに到着。お店の人がメニューを持ってきてくれました。コース料理があればよいのですが、メニューは全てアラカルトのようです。前菜、スープ、魚、肉と、全く読めないフランス語(多分)と、何とか単語だけは理解できそうな英語のメニューの中から、ワイン、マグロのタルタルサラダ、チーズの盛り合わせ、ステーキ、勢いにまかせて、デザートのチョコレートムースまで注文しました(^^)。どんな料理が出てくるのかとワクワクしていると、まずはサラダが運ばれて来ました。・・・お互いに顔を見合わせること数秒、大皿に山盛りに盛られたサラダは、予想していた量の3倍はあります。まぁ、おなかも空いていたことだし、昨日の分を取り戻せば。と思い食べ始めました。・・・が、しばらくしてステーキ2皿がテーブルへ。見ただけで、完食するのを諦めました^_^;。店員さんも「お客さん、それは多く注文しすぎですよ」とか、親切に言ってくれればいいのにな。いや、注文する時に何やら言われていたような気もするけれど、全部は理解できなかったので、とりあえず「OK」と言ってごまかしたような気もします^_^;。何とか残さないように頑張ってはみたものの、サラダもステーキも三分の一以上残してしまいました。そして、忘れたころに運ばれてきたチーズの盛り合わせは、とりあえず味見だけして終了。ホントにゴメンなさいって感じです(>_<)。こんなにたくさんの物を残したのは初めてです。ここは小さな離島だから、ほとんどの食材はわざわざ空輸されてきたはずです。それなのに、こんなに残してゴメンなさい。日本人はきっと贅沢だと思われたことでしょう(;_;)(涙)。 そして最後に運ばれてきたのは、大きなワイングラスの器に盛り付けられたチョコレートムース。かなり甘かったのですが、最後まで残しては申し訳ないと思い、息もつかずに一気食いしました。部屋に帰って二人して胃薬を飲んだのはいうまでもありません(苦笑)。 悪魔 このホテルでは部屋にテレビもなく、離島に来たと実感させられる静けさです。聞こえるのは虫の声だけ(苦笑)。日頃から、パソコンやテレビに依存しているのがよ〜く分かりました^_^;。そんな、のんびりした夜を過ごしていた時、ふと壁に目をやると、カベチョロ(夏場になると建物の外壁などにへばりついている灰色のトカゲのようなもの)が室内の壁にいるではありませんか!僕はヘビやトカゲの類は得意な方なのでさほど気になりませんが、それでも室内にいるとなるといい気持ちはしません。「外国産だからって、毒はないよね?・・・」などと思いながら、一応ビニール袋を手にはめて、素早く逃げるカベチョロを床に叩き落し、無事捕獲に成功して外に逃がしてやりました。これで一安心・・・とその時は思いました。しかし、しばらくすると、「キャッキャッキャッキャッキャ」と、悪魔の叫び声のような音が室内に鳴り響きました。僕達は音のする方を凝視したのですが、そこには何もいません。誰がどう考えても室内で発せられた声だったのですが、「きっと外の音だったよね」と、お互いに言い聞かせて眠りにつくことにしました。眠ってしばらくすると、暗闇の静寂に突然「キャッキャッキャッキャッキャ」と恐ろしい声が響きます。その後も30分おきぐらいに定期的にその鳴き声は鳴り続け、寝るに寝られない魔の夜を過ごしたのでした。(>_<) 三日目 寝むれない夜が明け今日も快晴です。遅めの食事をホテルのプライベートビーチに並べられた白いパラソルの下で食べます。昨夜の悪魔の声が夢じゃなかったかと思うほどの美しい景色で、白い砂浜の先には穏やかに澄んだ海が広がっています。二羽のカモメが僕達の近くをウロウロしていたので、パンをなげてやると嬉しそうについばんでいました。 今日は特に予定を入れていないので、食事の後はホテルの前の海でシュノーケリングをして遊ぶ事にしました。昨日は全く人がいなかった浜辺に、今日はやたらと外人さんがいます。勢いよく海に入ってみると海水はかなり冷たく感じましたが、それでも気合いを入れて岩場のあたりで潜ってみると、色とりどりの熱帯魚が群れをなして泳いでいるではありませんか!!わざわざ日本から持参したパンを小さくちぎって海に入れると、あっという間に、そこら中から魚たちが集まってきました。人慣れしているのか、手から直接パンを食べるので、近くにいた外国人のおばさん達にもパンを分けてあげて、一緒に魚の餌付けをして遊びました。こんな時の英会話?は、その場の雰囲気で何とかなるものです(笑)。その後、砂浜で休憩していると先程パンをあげたおばさんが英語で話し掛けてきました。 (以下、多分こんな感じだった会話) (お)は、おばさん (お)「さっきはありがとう。ところであなた達はどこから来たの? (僕)「日本から来ました」「おばさん達は?」 (お)「私達はオーストラリアからやって来たの。ここには何日ぐらい滞在するの?」 (僕)「六日間です」 (お)「へぇ〜、それは素敵ね。」「私の息子は、以前日本にホームステイしたことがあって、少しだけ日本語が話せるの」(ここで息子を呼ぶ) しかし、その息子は全くと言ってよいほど日本語を話せず、簡単な単語を一つ、二つ、並べただけでした。僕の英語力以下・・・きっと短期のホームステイだったのでしょうね。^_^; しばらくすると、浜辺で太鼓の音が鳴り始めました。20名ほどのメラネシアンの人達が、太鼓のリズムに合わせて踊っています。顔には白いペイントを塗り、腰みのを付けただけの衣装で踊る様は、きっと昔からの伝統的な踊りなのでしょう。後で分かったのですが、この日は港に大型客船が到着し大勢の観光客がやってきていたので、それに合わせて、現地の人達による歓迎の踊りが行われていたようです。 この日の昼食は、ホテルのオープンテラスでピザを注文しました。昨日の反省を活かして、今日は二人で一皿だけの注文です。出てきたピザは日本のMサイズぐらい。二人で腹八分目のちょうどよい大きさで、全部美味しくいただきました(^^)。食後はしばしの昼寝。昨夜あまり寝られなかったせいか、昼は気持ちよく寝られました。なんて贅沢な昼寝。。。 午後からは、先ほど泳いだカヌメラ湾と道を一本隔てただけのクト湾へ散歩に出かけます。道を一本隔てただけですが、こちらの湾は更に水の透明度が高く、砂浜の砂は世界一?キメが細かいと言われています。触ってみると粒を感じないほどサラサラしていて、水に濡れた砂は片栗粉のよう。周りを見渡しても、店もなければ家もない。青い海があって、空がある。浜辺には無数のヤシの木。泳いで、昼寝して、散歩して、この一日は本当に贅沢に過ごしました。 そして再び夕食。昨日の失敗を重く重く受け止め、白ワインと鯛の香草焼き一皿、それにデザートのアップルパイも一皿だけ注文しました。出てきた鯛料理には、ご飯まで添えられていて、二人で美味しく綺麗に平らげました。デザートのアップルパイは日本のものとは違い、薄い生地の上に超薄切りにされたリンゴが丁寧に重ねられています。昨日は量に圧倒されて味わう余裕もなかったのですが、この日はとても美味しい料理をゆっくり味わうことができました。 夕食後ふと夜空を見上げると、空には満天の星☆星☆星。無数の星が、夜空に大きな川のように列をなして輝いています。「これが天の川かぁ〜」。日本で見る星とは比べ物にならないくらい輝いていて、その数に圧倒されてしまいます。見ているだけで涙が出てきそうになりました。いつまでも眺めていたい気分でした・・・が、見上げていた夜空に、巨大キリギリスが羽を広げて飛んでいるのを目撃して、そそくさと退散したのでありました。^_^; 悪魔 再び・・・ そして、昨日と同じように悪魔はやってきました。「キャッキャッキャッキャッキャ」と、今日も明らかに室内で鳴いています。声の主を探してみると、壁には昨日見たカベチョロがいるではありませんか。「悪魔の声の主はこのカベチョロだったのか」と、正体が分かっただけ一安心。しかし、今日のカベチョロはエアコンの後ろに隠れてしまうため、とうとう捕まえることができません。昨日と同様に、夜中に何度もうなされながら、夜は更けていくのでした。 四日目 イルデパンの最終日。この日はホテルのアクティビティーに参加しました。ピローグ舟(帆掛け舟)に乗ってクルージングをした後は、ジャングルの中をウォーキング、そしてピッシンヌ・ナチュレルという絶景ポイントでシュノーケリングをするという、体力勝負?の一日です。 フロントで、昨日注文しておいた昼食のサンドイッチとジュースを受取り、早朝から出発です。 車で10分ほど走ると、ピローグ舟が停まっている港へ到着しました。港と言っても、砂浜の沖合いにピローグ舟が止まっているだけです。しばらくすると、舟に乗っているおじさんが手招きして僕らを呼んでいます。陸から舟までは15mほど。海の中をジャブジャブ歩いて舟に乗り込みます。僕達が乗った舟には、おととい、同じ日にチェックインした新婚さん一組が乗っていて合計4人。舟はのんびりと風を受けながら進んでいきます。途中、マッシュルームのような形をした奇妙な岩が海から突き出ており、その周りにはたくさんの蝶が飛んでいました。乗り合わせた新婚さんとはいろんな話をしたのですが、この舟の船頭?さん、全くの現地語?しか通じないようで、 英語・フランス語・日本語・どれも通じません。向こうも通じないのが分かっていて何も話し掛けないのですが、突然舟を止めて方向転換を始めました。乗っている4人は何がおこったのか分からず、理由を聞く事もできず・・・舟は突如逆走しはじめました。船頭さんは「○×△※・!×□・・・」と、全然通じない言葉を発しながら、ずっと先の海を指差しています。よ〜く見るとそこには真っ黒い1〜2mぐらいの物体が海面をフワフワと泳いでいます。更に近づくと、今度は向こうから舟の方に近寄ってきました。「マンタ」です!!・・・って、よく分からないので断言できないのですが、たぶん「マンタ」です!!船頭さんはこれを見せてくれるためにわざわざUターンしてくれたようです。ありがとう。 2時間弱のクルージングを満喫したところで、船は湾の奥まった所までやってきました。ここでクルーズは終了です。乗った時と同じように、今度も海中にジャポンと降りて陸地まで歩いて行きます。船頭さんが指さす方を見ると、うっそうと繁る原生林の中に、横幅1mぐらいの小道が奥へ続いています。ネットで事前に情報収集していなかったら、進むのを躊躇してしまいそうな獣道ほどの小さな道です。二人だけじゃなくて良かったと、内心ホットしていたら、乗り合わせた新婚さんも同じ気持ちだったらしく、一緒にジャングルを進むことになりました。ホテルの説明では徒歩約45分でしたが、僕達のスピードが遅かったせいか、一時間弱ほど歩いたと思います。「新婚旅行でジャングル探検かよ!!」と思いつつも、テクテク歩き続けていると、突然視界が開けて、川のような場所へ出ました。 実はこの場所は川ではなく、半島と島の間にある海なのですが、水深はヒザ上ぐらいまでしかなく、川のように海水が流れており、見た目には全くの川に見えます。後はこの川?の中を上流に向かってジャブジャブ歩いていけば、絶景ポイントのピッシンヌ・ナチュレルに到着するはずです。先ほど舟に乗ったのと同じように、ひざ上まで水に浸かって進んでいくと、急に足がビリビリしてきました。最初は、日焼のせいでヒリヒリするのかと思ったのですが、定期的に刺すように痛みが走り、痛む場所は小さなミミズ腫れになっています。痛みの原因を探るべく、澄んだ川面をじーっと見つめていると、綺麗な紺色をした2〜3cmぐらいの糸クズのような物体が流れてきています!!クラゲです!!日本では見たことがない形だけど、蛍光紫色の小さなクラゲが上流から次々流れてきています。しかも、小さなクラゲはいくつか固まりになっていて、流れながら分裂しているではありませんか!!とにかく急いで対岸へ渡り、川沿いに続く小道を歩いていくことにしました。足は靴擦れで血が滲み、クラゲで刺された部分は小さく赤くはれ上がり、日焼け止めを塗っているにも関わらず、舟にのっている間に全身日に焼けてヒリヒリしています。もう何が痛いって、全部痛い。「これって新婚旅行だったよなぁ」と思いながら更に歩く事10分。突然視界が広くなりました。 「ピッシンヌ・ナチュレル」 視界の先には、青い空と波のない透明な海、言葉にならないくらいの絶景が広がっています。海から流れ込む海水が溜まったその場所は、200mぐらいの大きな池のようになっていて、周りには南洋杉が立ち並んでいます。ガイドブックで見て「綺麗だなぁ〜」と思っていたけれど、実際に行って見ると圧巻です。人生観が変わると言うと大袈裟かもしれないけれど、景色を見た時はそれくらい感動しました。足が痛いのなんかすっかり忘れて、持参したシュノーケルセットを手に海に入ってみると、クラゲは流れのない場所にはいないようで一安心です。一番中心の岩場まで行きゴーグルを付けて水に入ると、まるで水族館の水槽に潜ったかのように水が澄んでいて、たくさんの魚が泳いでいます。ホテルの朝食でコッソリもらってきたフランスパンを小さくちぎって水に投げてみると、一瞬で無数の魚が周りに群がってくるではありませんか!!手に握ったパンでも、体当たりして取りにきます。両手で勢いよく水面をすくってみると、10cmほどの青い熱帯魚を手づかみで捕まえる事ができました。それくらい魚が密集しているのです。更に岩場が途切れて3〜4mほどの深みになっている場所には、40〜50cmありそうな中型の魚や、映画「ニモ」で有名になったクマノミ、岩場の海底の方にはウツボまで、色とりどりの熱帯魚が泳いでいます。中心の岩場は大きなイスのようになっているので、座った状態で魚を見たりパンをあげたりすることができます。ちょうど温泉につかりながら、顔だけを水面につけて熱帯魚を見ているような状態で、泳がなくても全然大丈夫。(^^) ひとしきり魚と遊んだ後は、ホテルで用意してもらっていたサンドイッチの昼食です。サンドイッチと言っても、中くらいのフランスパン1本分が一人分です。具には卵や鳥肉、野菜がたっぷり挟まれていて、ボリューム万点。やっぱり量が多い。。。(笑)。昼食後も再び魚と戯れたり、浜辺に寝転んで貝を探したり、夢のような時間を満喫することができました。 やがて集合の時間になり、帰りはホテルの車が近くまで迎えにきてくれました。午前中は、舟に乗ったりジャングルを歩いたり、大変な思いをして辿り着いたのに、車で帰るとたったの30分たらず。車ってホントに便利だなぁ・・・と実感しました。 その後、ホテルに戻ってシャワーを浴び、一休みしてから夕方の飛行機で本土へ戻りました。離陸した夕刻の空からは、先程まで遊んでいたピッシンヌナチュレルや、滞在したホテルのビーチが夕焼けに染まって赤く輝いているのが見えました。短い滞在だったけど、イル・デ・パン島は、本当に素晴らしい島でした。 本土に戻ると、街には灯りが輝いていてイルデパンとは別世界です。急に大都会にやってきたような錯覚を覚えました(笑)。初日に宿泊したホテルに戻ってテレビで日本のNHKニュースが流れた時には「何だか日本に帰ったみたいだね」と、二人で言い合いました。 今日の晩御飯は、ホテルのレストランでいただきます。数日間の学習の甲斐あって、今日頼んだメニューも量がピッタリ。デザートのティラミスまで美味しくいただき、ワインでほろ酔い気分のまま、ホテルのカジノにも足を運んでみることにしました。・・・が、ラスベガスのようなカジノを思い描いていると、かなり期待外れです(行ったことはないけど^_^;)。日本のゲームセンターにあるコインゲームの方が立派じゃないかというくらいのスロットマシーンが並んでいました。とにかく、無料でもらっていたチケットとドリンク券を使うべくカウンターへ行ってみると、そのチケットは向こうの部屋でしか使えないと言われ、指定された部屋へ行ってみると、そこにはルーレットやトランプゲームコーナーが並んでいました。500フラン分(大まかにいうと、ほぼ500円)の無料チケットを出すと、100フランのチップを5枚もらえました。僕はあっさり負けてしまったのですが、妻がチップをいつまでも握り締めています。「はやくやって帰ろうよ」と僕がせかしたので、妻は持っていた残り3枚のチップを、ルーレットの黒の10番に全て賭けました。回転するルーレット、勢いよく回るボール。だんだんボールの勢いが弱まり、落ちたポケットは黒の10番!!周りのお客さんも苦笑するようなまぐれ当りで、無料でもらったチケットは1万円以上で換金され、最終日の豪華夕食へと化けました。(^^) 最終日 さぁ、今日はいよいよ最終日、今日の深夜には日本に向けて出発です。とは言うものの、出発は夜中なので今日一日ゆっくりと時間があります。最終日の計画は市内見物と、お土産を買うことです。 地○の歩き方を片手に、ホテルの前からバスに乗ること15分。ヌメア市内に到着です。 まずは朝市を見学するためマルシェへ。ここには肉や野菜などの生鮮食品がたくさん並べられています。これといって珍しいものもありませんが、輸入物が多いせいか物価は決して安いとはいえません。マルシェ内にある、ガイドブックに載っていたお店で、名物のカフェオレとクロワッサンを注文しました。このカフェオレ、カップがとにかくデカい。朝からそんなに飲めないだろうと思ったけれど、勢いにまかせて全部飲み干しました。^_^; その後は、観光ポイントの「セントジョセフ教会」を見学し、街全体を見渡せる「エフ・オー・エルの丘」へ。海沿いにいる時にはさほど感じなかった暑さですが、アスファルトだらけの街中ではかなりこたえます。汗だくになりながら急な坂道や階段を登る事約10分。やっとの思いで頂上?に到着です。ここは、ニューカレドニアのパンフレットなどに、必ずといってよいほど登場する有名な場所。暑さのあまり無口になりながらも記念撮影をして、今度は市内中心地へひたすら下ります。 街中に戻ると再びガイドブックを片手にお土産屋さん探しです。しかし市街地は普通の街中にあるような商店ばかり。洋服屋さんCD屋さんなど、地元の人が利用するようなお店ばかりで、何件か覗くもお土産になりそうな物は売っていません。旅行パンフに「プチパリ」などと書かれていたけれど、パリに行ったことがない僕でも、「それは言い過だろ」と思いました。途方にくれたあげく、ガイドブックに書いてある大型スーパーへ。ここは何でも揃っていて大型カートにお菓子やコーヒーをポンポン入れていきました。初日にお土産屋さんで買ったコーヒーと全く同じものが格安で売られていたのはショックでしたが、それも追加で購入です。新婚旅行と言ったら、もう少しまともなお土産もありそうなものだけど「会社の皆さんスミマセン」と思いつつ、両手一杯の荷物を抱えながらバスでホテルへ戻りました。 楽しかった旅ももうすぐ終わり。夕方になって、シトロン湾へ散歩に出かけました。ここは、夕日のビューポイントになっていて、海に沈む綺麗な夕日を観に、たくさんの人が訪れていました。海に沈む真っ赤な夕日を見ながら「またいつか来たいね」と手を握り合った二人でした。 おしまい。 あとがき 今回の新婚旅行は、行き先を決めるのに大変苦労しましたが「行ってよかったね」と、お互い言いあえる旅ができたので、ニューカレドニアに決めて本当に良かったと思っています。部屋にカベチョロが居て、巨大なキリギリスに遭遇して、ヤシの実が目の前にドスンと落ちてビビッて、クラゲに刺されて、岩場で足を切って、日焼けでヒリヒリして、靴ズレで足が痛んで、汗だくになりながら歩いても、それを全部含めて楽しい旅でした。何故ならそれは、二人で経験できたからだと思います。きっと「新婚旅行」は、世界中のどこに行っても、一度きりの二人の楽しい思い出になるんだと思います。な〜んてね(笑)。「またいつか、一緒に行けたらいいね」と二人で話しています。 確か、新婚旅行の起源って、苦しい旅を二人で乗り越える事で絆を深めるというのが始まりだったんですよね?峠越えか何かだったと聞いたような記憶があります。僕達の旅行も、一般的な新婚旅行より多少はサバイバルだったかもしれません。(笑) また、読み返してみると、ほとんど食べもののことばかり書いているような気がしますが、僕がこれまでに行った数少ない海外旅行経験の中では、料理の味はダントツに一番美味しかったです!!何を食べてもほとんどハズレがないし、日本人の口に合うものばかりだったと思います。(^^) そして、皆さんがいつかニューカレドニアに行かれる機会があれば、ぜひとも離島へ足を伸ばしてみてください。本土だけなら、グアムの海の方が綺麗なような気がするし、買い物だけだったら絶対ハワイの方がいい・・・。しかしニューカレドニアの離島には、言葉や写真では言い表せない美しさがあります。心が洗われるような絶景が待っています。そして夜には、満天の天の川を見ながら巨大なキリギリスと戯れてください。(爆) 最後まで長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。 マフィー |