にゃ〜、現れるの巻  

6月某日のこと。
「みゃ〜、みゃ〜…」黒い物体!?
鳴き声が聞こえた。猫?わりと、近いような気がする。
どこで鳴いているのだろう?
様子を見ようと、庭に通じる居間の窓を開けてみた。
ガサガサッ。
きゃっと悲鳴をあげて、黒い物体が走っていった。
…ちょっとびっくり。
なんとそれは、開けた窓のサンに居たようだ。仔猫である。
ちょこっと離れた位置から、怯えた目でこちらを見つめる。
手のひらに隠れてしまうくらいの小さな黒猫。
「みゃ〜、みゃ〜…」
弱弱しく鳴いている…。手の届くところにいたので、思わず手を伸ばそ うとすると、母に注意を受ける。触ってしまえば、人間の匂いがつくの で親猫に嫌われるんじゃないか、と。

私はあまり動物については詳しくない。どころか、どちらかといえば、 苦手な方である。かわいいのは大好きなので、飼ってみたいと思うけど、 満足に世話ができるとも思えない。
誰が面倒見るの。そう言われるに決まってる。

私は、仔猫に触ることを断念。

その頃、ちょうどよく家に遊びに来る近所の飼い猫トラが子供を生んだ。
人知れず、どこで生んだのかはわからない。
そんな状況から、この仔猫は、きっとトラの子供だなってなんとなく思 った。


1999.07 up
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