にゃ〜が行方不明の巻
にゃ〜がいなくなった。
その日、家に帰ると、いつものようにテラスを覗いたが、いない。
「にゃ〜?」
呼んでもとんでこない。
ちょっと時間が遅かったので、もう眠っていると思ったのに。
どうしたんだろう。
母に聞いても、さっきはソコにいたわよ。なんて、ノンキに答えてる。
お散歩にでも、行っているのかなぁ。
……。
どうしても気になる。
「にゃ〜っ」
何度も呼んでみる。いない。
とりあえず、門まで歩いてみる。いない。
「にゃ〜っ」
だいたい庭にいて、声が聞こえないわけないのだ。ここには、いないって
こと?
心配である。
どうしたんだろう。
昨日、中庭デビューを果たしたばかりなので、こっちかな?
「にゃ〜?」
小さい声で呼んでみる。いない。
どうしたんだろう。
どこか行っちゃったのかなぁ。家の外に?
このまま帰ってこないのかなぁ。
あんまりカワイイから、誰か連れてっちゃったのかなぁ。
……。
いろんな考えが頭を過ぎる。
にゃ〜のいない家は、なんて寂しいんだろう。
なんて空虚なんだろう。
たったの数日しか経っていないのに、ちょこっといないだけで、こんなに
寂しいなんて。心にぽっかり穴が開いたようだ…。
「にゃ〜…」
そのとき、小さい鳴き声が聞こえた。中庭からだ。
「にゃ〜!?」
台所の窓を開ける。
すると、影からにゃ〜がひょこひょこ歩いてきた。心なしか、眠そうな感
じ。草とかいっぱい体につけて。
どうも、中庭のすみで眠っちゃってた様子。あくびをしながら、歩いてる。
「もう。心配させるんだから。」
ちゃんと、自分の定位置で寝てよね。なんて、勝手なことを考えながら。
あ〜、よかった(笑)。
真剣に悩んだわりには、案外なんでもなくって(笑)。
ふぅ。
これで本当ににゃ〜がいなくなっちゃったら、私はどうしたらいいんだろう。
にゃ〜が死んじゃった日には、私はどうなっちゃうだろう。
ちょこっと真剣に考えてしまいました。
1999.07 up