屋根デビューの巻  

その日は、うららかな暖かい日だった。
2階にあがっていくと、弟の部屋で何やら物音が。
うん?
弟とにゃ〜が遊んでいる。
窓があいていて、不思議そうに、にゃ〜は外を眺めている。
そして。
不意に、ベランダに出て、柵を越えて、屋根の上へ。

大冒険! うちの家のつくりは、少し変わっている。最初に建っていた母屋にあとで継ぎ足した部分がコの字型に広がっているため、屋根はかなり広い。なんだか危なっかしい感じで、テクテクと歩いている。

「危ないから、そっちはやめようね〜」

なんて、聞くはずもないのに、叫んでみたり(笑)。
てっぺんを越えて向こう側に行ってしまったので、少し気になり、私も屋根の上へ…と思ったら。
う〜ん。昔は屋根の上で、お昼ねとか結構してたけど。昔?…小学生の頃?(笑)。さすがに今じゃ、家が古くなったのと、私が重くなったのと(苦笑)。ベランダの柵がきしんで、怖くて屋根にうつれない。

「にゃ〜」

叫ぶと、影からひょこっと現れて、母屋の屋根を走り回る。
古いから危ないって。
こっちの心配をよそに、飛び上がって屋根をうつったり、ちょっとした冒険気分。
つるっと足をすべらせたりしても全然平気みたい。
影になっているところに行って、寝そべってみたり。
う〜ん。君のお昼ねにまで付き合っちゃいられないってば。

ジャンプ! そのまま、窓を開けたまま、しばらく放置しておいた。
その日は、結局、2階には戻らず、一番の低い洗濯場の屋根から下に飛び降りたみたい。いつものように、何食わぬ顔で、裏口から帰ってきた。


GWのときは2度目の屋根の大冒険。
少しばかり風があったせいか、流されそうで怖かった。
今回は、またまたおおはしゃぎで、あっちからこっちから遊びまわっていた。
ベランダから出て母屋の屋根へ。てっぺんまで登って見えなくなった。
「あれれ〜、にゃ〜?ちょっと、どこいったの〜?」

下の部屋に降りていく。泊まりに来ていた姉夫婦が上を見上げて、なんかすごい音がするって言ってる。

……そりゃ、にゃ〜だよ…。

あいつ、屋根の上をドタドタと走っていたらしい。
庭に出て屋根の上を見ると、にゃ〜がこちらを見下ろしている。そりゃ、さぞかし気持ちいいことでしょう(苦笑)。
なんでもいいけど、早く降りようよ。
応接間の前にある普段駆け上がるシュロの木が目の前にある。
じっと見つめるにゃ〜。

ま、まさか?それに乗り移って下りるの?

飛んじゃおうかな〜 いや、それはまさかでした(苦笑)。しばしじっと見つめたあげく、諦めてまたてっぺんへと消えていった。
それから、しばらく洗濯場の屋根をうろうろし、下りておいでと手をさしのべる私達をからかうように眺め、ばぁ〜っとまた屋根に登ってベランダに帰ったかと思うと、今度は反対側の屋根へ。
まったく。

おりしも、頃はご飯どき。日も暮れかけて、空は薄暗くなってきた頃。

「お〜い、にゃ〜」

人の呼びかけにはまったくの無視。ご飯に呼ばれたので、仕方なく、部屋の窓を開けたまま、食事に行ってしまった。
食事後、少しテレビなんかを見たりして。
ふと、真っ暗な外を見て、にゃ〜どうしてるかな? と思い出す。
自分の部屋に戻ると、やっぱりね。
にゃ〜は、私の部屋の押入れの中で、ジッとこっちを見てマシタ(笑)。
まったく素直じゃないんだから。

そんなこんなで。
にゃ〜は、屋根の上の大冒険がイタクお気に入りのご様子。
それから、私や弟の部屋に来ると、出たそうに窓の近くに座るのだった。


2000.05.14 up
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