にゃ〜が分裂?!の巻  

あれは6月某日のこと。
HPの更新を終えて、さあそろそろ眠ろうかな〜と布団に入ったのがちょうど3時半頃のことだった。
にゃ〜くんは相変わらず足元で眠っていた。

ちょっとうとうとしはじめ、なんとなく眠りかけた頃、にゃ〜くんが目を覚ました。それだけならいざ知らず、私の体を飛び越えて、あっちうろうろ、こっちうろうろ、なぜだか落着かないのだ。
「にゃ〜」
ベランダへ出る窓の前で鳴いてみたり、立ち上がってみたり。

なんなの、なんなの?
眠い頭で時計を見ると、まだ4時になるかならないか。
にゃ〜くん、ちょっとアンタ、早起き過ぎるよ。
あたしゃ、今寝たとこなのに(苦笑)。

今度は階段を降りて下に行ったようだ。が、しばらくして、すぐまた戻ってくる。
またひとしきり私のまわりをうろうろした後、今度は廊下の先の階段の前で寝そべっていた。
お腹でもすいてるのかな?どうせ、お母さんもお父さんも起きてくれなかったんでしょ?
そう思って起きあがり、仕方がないので、階段のところまで行く。

ソワソワッソワソワッ 「にゃ〜くん、なあに?お腹すいたの?」
話し掛けても、階段を降りていく様子はない。
なんだかな〜。
ところが、少し降りていく素振りを見せたところ、一目散に駆け下りていった。
ご飯かな?と思っていたら、裏口のまえでちょこんと座って待っている。
トイレ?
「すぐ帰ってくるんだよ」
ドアをあけてあげる。
様子を伺うように、キョロキョロとするにゃ〜。少しだけ外に出て、また戻ってきた。
なに、なに。トイレじゃないの?
私はさっさと寝ようと2階に上っていく。
すると、またにゃ〜がやってきて、あっちうろうろ、こっちうろうろ。
「もう、なんなの〜?トイレじゃないんでしょ〜?」
眠い目をこすりながら、にゃ〜についていく。
今度は玄関の前にちょこんと座って、”あ・け・て”と目で訴えてくるので、仕方がないから開けてあげた。
ところが。
まわりをチロチロと伺って、こっちを見上げ、家の中にはいってくる。そして、今度は裏口だ。
「もう、いい加減にしてよね〜。あたしゃ、寝たいんだからさ〜。トイレならトイレで、さっさと行ってきてちょ〜だい。」
私の剣幕に恐れをなしたのか(苦笑)、にゃ〜はチャ〜っと走り出て、隣の畑で用事を済ませたあと、また一目散に戻ってきた。
戻ってきたのを見届けて、私はとっとと眠りについた。

目覚めると、母や弟が「にゃ〜が分裂したのよ〜っ!!」と口々に話してくれた。
朝、母が玄関のドアを開けると、家にやってきた頃のにゃ〜よりもほんの少しだけ大きな仔猫が玄関先に座っていたらしい。不運にも、外は雨。雨宿りしていたようだ。
母に気づくと、とっさに庭の木の影などに逃げ込んだ。
「なに、なに、なに、なに?」
隣のおじさんの話によれば、どうも数日前に家の前の池の向こう側に捨てられたらしい。
そこで、おじさんと母がてんてこまいで、仔猫たちを捕まえにかかった。弟は、見ているだけで、こっちにいる、とかあっちにいる、とか指示するだけ。
「アンタも手伝って」と母に言われても、「できないから」と断っていたらしい。
にゃ〜くんは抱き上げるのにね(笑)。
そして、もう一匹。情けないにゃ〜は、仔猫の様子を気にしながら、遠巻きに覗いていたとか。
仔猫は全部で4匹。黒、みけ、灰といろんなのがいたらしい。灰色猫は毛もふわふわでうんとかわいかったらしいが、それだけ飼うわけには行かず。
隣のおじさんに飼い主を探してもらった。

そんなわけで、にゃ〜は朝方からソワソワしていたのね…。
おりしも、にゃ〜が捨てられてからちょうど1年。捨てられていた場所もほぼ同じ場所なところから、もしかしたら、ホントににゃ〜の兄弟だったかもしれない。黒いのは、結構似てたらしい。

同じことを繰り返す飼い主にも憤りを覚えるが、捨てられていた場所は、実は池(ため池なので小さい)のまわりに危ないからと立っている金網の内側(つまりは池側)なのである。もしかして、死んじゃうかもしれないのに。ま、捨てるという行為自体が、そうだといえばそうなんだけど。

なんだか少しだけ、哀しくなりました。


2000.10.28 up
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