ノミとり大作戦の巻  

それは初夏の出来事だった。なんだか、足がかゆい、かゆいと思っていたら!
ぴょこんっと飛ぶ黒い物体が布団の上に!
何しろ、うちのにゃ〜は私の布団を好んで眠る。今年はちょっとノミとり首輪をつける時期が遅れたせいか、私の部屋でえらい大発生してしまったのだ。にゃ〜の体にいたやつが、私の血を吸って繁殖したって感じ?あ−、考えただけでも、かゆい、かゆい。
一時期は、布団に来ると、ノミ探しが始まり、夜は眠れず、結局ソファーで眠るという日々が続いた。布団でノミとりをしているとにゃ〜がやってきて、足元のいつもの位置で眠ろうとするんだけど、私が結局ソファーで眠るので、にゃ〜もなぜかついてきて、一緒に応接間で眠ってた。

土曜日。バルサンを買ってきて、大ノミ退治大作戦を繰り広げた。
まずは部屋の殺虫剤と、布団干し。部屋の方はこれでだいぶおさまった。

そして、根元であるにゃ〜くん、はじめてのシャンプーと話は続くのである(笑)。

濡れねずみのにゃ〜(笑) はじめてのシャンプー。
にゃ〜は、水に濡れるのが大嫌い。
突然、私に抱きかかえられ、お母さんに囲まれてお風呂場へ連れ込まれたことが、何事か理解できなかったようだ。キョトンとした顔をして、少し怯えている。
シャワーを出して、まずは濡れ濡れ状態に。思ったより大人しくジっとしていた。
シャンプーをつけて、体中撫で回される。これは、少しだけキモチよかったみたいで、結構ご機嫌な顔をしていた。
シャワーを出して、流している間も、思ったほど暴れることもなく、異常に大人しかった……どうも、かなりビビってて、声も出なかった…というのがホントのとこらしい(…って、聞いたんかい(苦笑))。
すべてが終わり、お風呂場から出ると、タオルで拭いてやる間もなく、チャ〜っと走り出てテーブルの下に。一生懸命自分でなめて乾かしていた。捕まえて拭いてやろうとするのだが、また逃げられる。これ以上、触られたくないっ!という気分のようだ(笑)。

腕の傷…こんなモン、撮るなって(苦笑) そんなこんなで1回目のシャワーは終わったが、ノミがまったくなくなるというわけにも行かず。
4日後の2回目のシャワーへと進むのである。

2回目のシャワーはまた大変だった。この前ので、どんな感じかわかっちゃってるので、もうお風呂場へ入るのを拒む、拒む(笑)。シャワーなんかをかけた日にゃ、もう暴れて収集がつかない。かなり無理やり泡を落としたが、バリッと引っかかれた。腕に一文字。その傷は、3ヶ月経った今でも残っている(苦笑)。

ノミが発生してからも、にゃ〜には相変わらず猫っかわいがりで接していたつもりだったが、嫌がってるキモチが伝わってしまったのか、だんだん私の布団どころか、私の部屋でも眠らなくなった。
夜は2階の廊下、階段のてっぺんで眠る。暑いからか、私が嫌そうな顔をするからか。朝も、気づくと、廊下で寝ている。

ある日、夜中に目を覚ました。なぜ目を覚ましたかは覚えていないが、ふっと目を覚ますと、足元にはなんとにゃ〜が眠っていた。どうも、あいつは、私が目覚めているとき、つまり夜と朝方は廊下で寝ているが、夜中にはやっぱり私の足元で眠っていたみたいなのだ。
嫌がってる風の私に気を遣って、私の起きているときは側で寝なかったというのがホントらしい(ホンマかいな)。
そんなに私って、にゃ〜に嫌そうな態度をとっていたのだろうか。
そんな些細なことを気にしてくれるにゃ〜が、もうかわいくてたまらない(笑)。

さて、3回目のシャンプーである。この時は、お風呂の上の方についている小さな窓が開いていた。シャンプーで洗っているときは機嫌もいいのに、シャワー嫌いにも困ったものである。シャワーをかけはじめたとき、小さな窓が開いているのを見つけたにゃ〜は、あろうことか、その窓から逃亡しようと、上へ上へ向かっていった。そして、母の背中を踏み台に飛びだそうとした。
バリッ。
ギャッ。
母が大きな声で悲鳴をあげる。
…にゃ〜くん…そりゃ、イタイって。
かわいそうに、母の背中にはこの前の私の腕よりもひどいミミズ腫れが…(苦笑)。
そこで、窓は閉められ、突破口のなくなったにゃ〜は最後のシャワーで仕上げにかかったのであった。
そして、またまたタオルでは拭かせてくれず、自分で一生懸命なめていた。

その日は、ちょっと前に買ってきたノミとりコームが試してみたくて仕方なかった。
にゃ〜の体を探して、探して。
徹底的にノミをとっていく。結構、面白いほどによくとれた(…といっても、そんなにはいなかったのだけど)。これで、にゃ〜の体には一匹のノミも見当たらないというところまで。
その頃、ようやくノミとり首輪の効力が発揮されて、かなり体のノミも少なくなっていた。

幸せそうに眠る…(笑) その日の夜。
もう、アンタはキレイだから、私の部屋で寝てもいいのよ。
そう言ったとたん、嫌がっていないのが伝わったのか、その日はノソノソとついてきて、私の布団にゴロンと横になった。しかも真ん中で(苦笑)。
をいをい、寝てもいいっつったけど、そこにアンタが寝たら、アタシャいったいどうすりゃいいんじゃ(苦笑)。
それでも、にゃ〜はそこからどかず。
よっぽどウレシカッタのか、にっこり笑みを残したまま、眠ってしまった。
…ま、いっか。
私は、にゃ〜をよけながら、布団の端で眠りに就いた。
嘘っぽいけど、ホントの話である。


2000.10.28 up
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